近年、YouTubeを使ったマーケティング戦略が増えてきています。

全世界で20憶人ものユーザーが使用し、一日当たりのYouTubeの視聴時間は世界でなんと10億時間以上と動画市場において圧倒的なプラットフォームを確立しています。

ビジネスツールとしてのYouTubeだと「月間〇億円youtuber」など少々怪しい商材をイメージする方もいると思いますが企業にとっては販促や集客のツール、また自社紹介動画など使わない手はないほど魅力的なマーケティング戦略の一つとして重宝されています。

今回はYouTubeを使ったマーケティングが成功している企業を4つ紹介し、どのような活用方法をしているのか考察してきます。

 

目次

プリント楽譜(ヤマハ)はYoutubeマーケティングで最も成功

ぷりんと楽譜は株式会社ヤマハエンターテインメントホールディングスが運営する、主にピアノ楽譜の通販サイトです。最近ではYOASOBIの「夜に駆ける」やレコード大賞を受賞したLisaさんの「炎」など人気の楽曲はすぐに楽譜を配信しています。

このYouTubeチャンネルの特徴としては商品である楽譜のお手本動画を動画に配信、コメント欄に楽譜通販サイトのURLを添付し購買にというオンラインですべてが完結することができることです。どうしても楽譜だけだと完成形のイメージが付きづらいですが、実際に演奏があると「こんな感じに弾けるようになるのか」と自分が弾いている姿をイメージすることができます。

楽譜の難易度も初級編や中級編、上級編などに分かれているのでそれぞれ実力にあったものを選ぶことが可能です。

また、実際に楽譜を購入しピアノで練習している時に一定箇所のリズムがわからなくなってしまうことがあります。そんな時に動画を見返すとお手本として完成形がそこにあるため非常に演奏のイメージが付きやすくなるのもメリットの一つです。

2021年1月時点でチャンネル登録者数は8万人とYouTubeで成功した企業の一つといってもいいでしょう。

 

企業イメージ、商品イメージを定着させたサントリー

言わずと知れた国内最大規模の飲料メーカーです。

「プレミアムモルツ」や「クラフトボス」など日頃飲んでいる方も多いのではないでしょうか。YouTubeを使ってマーケティングを行う場合、顧客との接点は企業自身がYouTubeチャンネルを開設し動画を発信する「公式チャンネル」、有名人を起用して自社商品の宣伝を行う「インフルエンサーマーケティング」、そして「広告」に三つに分かれます。

サントリーはこの三つのチャネルをフルに使い顧客との関係構築に努めています。

これらすべての手段を利用する理由をサントリーは「テキストと写真だけの宣伝では他社との差別化が図りにくく消費者も違いがよくわからないが動画なら差別化を図ることができる」と説明しています。

例えば缶コーヒー「BOSS」は「働く人の相棒」をコンセプトにYouTubeで成功しました。

東京メトロとのコラボ動画では「BOSS」を通じて退職する一人の社員にサプライズをするといいう感動的な広告を打ち出しています。

また公式チャンネルではサントリーの社員がおいしいワインの飲み方を紹介してくれる動画や、サントリーの公式バーチャルyoutuber「燦鳥ノム(さんとりのむ)」のプロデュース行っています。燦鳥ノムは世界のどこかにある「水の国」からやってきた、飲み物が大好きな女の子です。この燦鳥ノムを使った動画を毎週1~2本のペースで配信した結果、チャンネル登録数は15万人を突破しました。

彼女の根強いファンの中には、サントリーの商品を箱買いするなどマーケティング戦略において欠かせない存在となりました。

インフルエンサーを使ったマーケティングでは佐藤健や南海キャンディーズのしずちゃんのリモート動画をのせるなど、大企業ならではの規制はありながらも、上手にYouTubeを使い、消費者に親近感を持たせてくれるような動画を配信しています。

 

パナソニックはGOOGLEのやり方を踏襲してYoutubeを展開

続いて紹介する企業事例がパナソニックです。

元々は松下電器産業という名前でしたが、2008年に現在のパナソニックへと社名変更しました。家電製品やパソコン、AV機器・カメラなど皆さんが普段使っているものも多いのではないでしょうか。そんなパナソニックは綾瀬はるかさんを起用したYouTube動画、「Panasonic NEWS FACTORY」シリーズで人気をあげています。この動画は綾瀬はるかさんが実際に社員としてパナソニックのオフィスに出社し、社員とともにパナソニック商品の魅力をリポートするという動画です。2019年11月にはテレビCMとしても放映されるなど、多方面に展開しています。登録者数は10万人を超えています。

パナソニックの広報担当の方は、YouTubeを使うメリットとして「消費者に一番見てもらえるプラットフォームであり、特に若い世代に見てもらえること」と話しています。

パナソニックには会員制のサイト「CLUB Panasonic」がありますが、こちらは顧客の年齢層が40~50代、一方YouTubeのパナソニックの公式チャンネル登録者は20~30代と、次世代の顧客をキャッチすることができるためYouTubeに重きを置いているとのことです。

 

パナソニックのYouTube戦略には「HHH」戦略というものが使われています。

これはGoogleが始めた戦略であり、具体的に「Hero」「Hub」「Help」の三つにコンテンツを整理しそれぞれの三つのHをとって「HHH」戦略といわれています。

「Hero」コンテンツでは人が一般的に持つ欲求を刺激し共感や納得を得ることで再訪問などの行動を促進するコンテンツです。YouTuberとのコラボ動画やライブ配信などがこの領域にあたります。「Hub」コンテンツではブランドとターゲットを繋ぐ、文字通り「ハブ」として機能します。例としては商品レビューがあげられます。

そして「Help」コンテンツでは消費者の「知りたい」というニーズに合わせてその解決策となるような情報を提供する領域です。前述の綾瀬はるかさんの動画はこの例にあたります。

パナソニックはこのようにして、世界を代表するGoogleのやり方を踏襲しながら、主に次の世代の若者に向けてYouTubeを配信しています。

 

コンバージョン率を一気に高めるGo Pro(ゴープロ)

最後に紹介するのがGo Proの例です。Go Proは衣服やユニフォームなどに装着して動画の撮影が行えるウェアラブル端末です。まずはこちらの動画を見て、いかにすごい動画であるかを感じてください。

いかがでしょうか。すごいですよね。私は感動しました(笑)。

Go Proは他にYouTubeマーケティングをおこなう企業とは一味違うマーケティングをしています。

製品自体のPRというよりも、製品を使ったことによる価値のような、体験をベースにした動画を配信しています。

Go Proは普通のカメラというより、ダイバーが撮影する海の底やスカイダイビングの動画、洗浄中の食洗器の中の様子など日常の生活ではなかなか見ることのできないような様子を動画に収めることができます。こうした動画を配信することによってより多くの視聴者が集まり、延いては自社商品の売上アップにつながります。

またこの企業の上手なところはキャンペーンの活用の仕方です。「あなたのGo Proで撮った動画を投稿してください」というキャンペーンを実施し、賞金も100万ドルをつけました。Go Proのユーザーを巻き込みこのような魅力的なキャンペーンを打ち出すことで消費者との接点を増やすことに成功しました。

YouTubeのチャンネル登録者数は1,000万人と、多くのユーザーに視聴されています。


今回はYouTubeを使ったマーケティング戦略に成功した企業を4つ紹介しました。

コロナ渦において、家で動画を見る時間も増えた人もいるかと思います。

ぜひ上に挙げた企業の公式チャンネルを見て、お気に入りの動画を探してみてください!

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