たまにCMで見るトヨタイムズ。
トヨタのなにか」というのはわかるのですが一旦どんなものなのでしょうか。

トヨタイムズは2019年にスタートしたwebサイト、youtubeで発信するトヨタのオウンドメディアの総称です。

トヨタとしての広報活動の一貫と呼ぶ人もいれば、トヨタのロビー活動の一貫と呼ぶ人もいます。

トヨタの戦略とすれば基本的にはどちらも正しく、顧客接点、情報発信、広告宣伝費用の削減(PR活動の一貫)として考えていると推測されます。

そこまでだと普通は面白くないものですが、トヨタはそこが違うところ。よく考えられた動画になっています。ここではyoutubeチャンネルのトヨタイムズについて徹底解説していきます。

 

目次

情報開示に徹底している

クルマのエンジン、新製品の情報などの情報はトヨタのチャンネルでなくてもマニアが解説してくれています。

トヨタイムズにはそれらの情報はほんの一握りです。
トヨタの決算発表、株主総会、労使交渉などの動画がアップロードされています。

決算発表、株主総会はIR発表会で動画になることはありましたが、労使交渉が動画になってアップロードされているなど聞いたことがありません。

トヨタ自動車労働組合の組合員は組合員約7万人、上部組織である全トヨタ労働組合連合会は組合数33万人を誇ります。

トヨタ自動車は工場勤務者も多いため、労使交渉は非常に厄介です。
ベア要求や人事制度変更など会社にとっては非常に厄介なもの。とても気を使います。

それらに対しても情報公開していっている非常にまれなチャンネルとなっています。

組合側、経営者側にとってみても非常に参考になる動画です。トヨタ全部の動画に共有していますが、なるべく原稿を見ずに交渉していくところが印象的です。

 

豊田章男がよく出てくる

トヨタ自動車の現在の社長は豊田章男。
トヨタイムズは豊田章男チャンネルじゃないというぐらい豊田章男がでてきます。

豊田章男は1956年5月3日生まれの65歳。
2009年6月に52歳で社長に就任しています。

2010年に世界規模でトヨタ自動車のリコール問題があって大バッシング。2010年2月24日アメリカ公聴会にまで呼ばれます。

それまではメディアにほぼでない経営者でありましたが、これを機会にトヨタ自動車としても豊田章男としても考えを改め、なるべくメディアに出る戦略に転換します。

公聴会ではたどたどしい受け答えだった豊田章男も10年も経つとしゃべりもうまくなり、ほぼ原稿を確認せずに話し続けます。

現在ではジェスチャーもほぼマスター。appleのティム・クックにも引けを取りません。英語でのスピーチもお手の物です。

 

豊田章男のおすすめ動画その1

まずはスズキの鈴木修会長との対談動画がおすすめです。

司会・進行はアナウンサーの小谷真生子。
創業家としての心づもりの話題が聞けます。またメディアに出るようになった理由も語っています。

スズキの鈴木修、トヨタ事業者の豊田章男。どちらの話題も魅力的です。

特に鈴木修は娘婿で、本名は松田修。結婚後に鈴木姓を名乗るようになっています。
その重圧、経営判断、意思決定など非常に重要な中、それらの意思決定方法について語っています。

公聴会後の話題も非常にわかりやすく話してくれています。小谷真生子のファシリテートもうまいです。出すぎず、聞きすぎず。

トヨタ自動車の社長、スズキの社長・会長は羨ましいと感じる人もいるとは思いますが、この話を聞くと経営者としての重圧は想像できないものです。

 

豊田章男のおすすめ動画その2

豊田章男はアメリカのバブソン大学の大学院を卒業しています。

バブソン大学は日本だとなかなか聞き慣れませんが、起業家教育の中ではNo1の学校。
そこのMBAコースを卒業しています。バブソン大学はイオン社長の岡田元也、スパークス・グループの阿部修平が卒業生です。1学年は150名だけ。少人数で留学生が80%以上を締めます。2年間の学費は約11万ドル。日本円で1200万ぐらいです。すごい大学ですね......

2019年に創立100年記念の卒業式に豊田章男が呼ばれてスピーチしています。全部で14分のスピーチ動画。
スピーチ最初に聴講者の心を掴むためのユーモアあるスピーチ動画はなかなか見応えがあるものです。

そこでは「バブソン大学の卒業生にトヨタでの就職内定をプレゼントする」と言っています。

公聴会前だと絶対話しなかったユーモアスピーチだと思います。

優秀な大学なのでみんな内定は持っていたでしょうが、何人かはトヨタに連絡があったはずです。その後の人事部担当者は対応が大変だったでしょうね。笑

 

豊田章男のおすすめ動画その3

豊田章男は社内の売店に行ったことがなく、社内の売店に行く様子が動画になっています。
庶民的な様子をアピールする動画となっています。

たぶん社長室での企画会議の延長線上でこのまま動画を撮ろうという流れになったのだと推測されます。

動画の画質も荒いのでihponeでそのまま撮ったのでしょうか。豊田章男がエレベーターに乗っている中、途中の階から社員が乗ってきて、驚いています。
それは豊田章男がいたら驚くでしょうね。笑

その後、売店にいき、アイスクリームをsuicaで買っています。

持っているsuicaは動画が荒くてよくわからないのですがクレジットカード付きではないsuicaで多分トヨタ仕様です。
オートチャージがついていないので自分でチャージしているのでしょうか。レシート上で残高確認しているのでその可能性大ですが謎です。ちょっと親近感もてますね。笑

 

トヨタイムズはどこへいくのか

PR活動でできることと言えばメディア受けがいいところだけ切り取られてテレビ、雑誌等に取り上げられます。

CMでできることは自社製品のアピールやブランドを全面に出して押すところ。商品・サービスに興味がない人にはうざいものです。

トヨタイムズが行っているオウンドメディアのいいところが自社が考えてることを自社の意図で発信できるところ。
労使交渉の文字やテロップはトヨタとして重要視していることや、感情を揺さぶる文字・テロップとなっています。ある程度見ている人をコントロールしやすい動画となっています。

商品やサービスの紹介はほぼ出てこず、トップである豊田章男、トヨタ自動車の社風、雰囲気として感じて欲しいことを(こっそりと)アピールする動画となっています。

 

トヨタイムズが向かう方向性とすれば、今のままトヨタ自動車全体の印象をコントロールする動画をアップロードし続けること

意図しすぎる動画をアップロードするとユーザー離れがおきますし、意図しすぎる動画では逆に炎上リスクも伴います。

資生堂との比較がわかりやすく、メディアに全面に出ていく魚谷雅彦社長と資生堂の化粧品ブランドのINTEGRATE、ANESSAで炎上した過去。
このようにならないようにうまくコントロールすることが重要です。

 

日本国内の企業で初めて大々的に行っているオウンドメディアでyoutubeも力を入れているコンテンツ。今後の方向性に要期待です。

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