5月末、YouTubeから2021年6月より適用される『YouTubeの利用規約の変更について』というメールがきました。
1ユーザーとしては、YouTubeへのアクセスや視聴に大きな影響はないのですが、Youtuberに対して、税務上の変更点などが付され、自らのチャンネルの税務申告に苦労された方もいるのではないでしょうか。
今回の利用規約変更は大きく分けて3つで、「顔認識の制限」「収益に関するYouTubeの権利」「ロイヤリティの支払いと源泉徴収」の三つですが、今回はその中でも特に「ロイヤリティの支払いと源泉徴収」という税金にも絡んでくる難しい変更がどのようになされたのか、解説していきます。
利用規約の変更はどんな内容なのか
この「ロイヤリティの支払いと源泉徴収」という変更点ですが、そもそも従来のシステムがどのようになっていて、それがどのように変更されたのか、よくわかっていない人も多いのではないかと思います。
簡単に言うと、YouTubeを運営するGoogleは2021年6月から、アメリカ外に住むYoutuberに対して源泉徴収を行うとするものです。
「源泉徴収」という言葉は、サラリーマンやアルバイト、パート等をして働いている人ならなじみのある言葉かもしれません。
要するに、会社が個人に変わって税金に関する手続きをしてくれるというものですが、これをGoogleがYoutuberに対して行うとするものです。
このシステムですが、今まではGoogleがYoutuberに支払う報酬は「広告料」という形で渡されていました。これだと源泉徴収をする必要はありませんでしたが、2021年6月からこの「広告料」が「ロイヤリティ」という形に変わります。
簡単に言うと、Youtuberらが自身の動画をGoogleに「提供」することになり、そうするとGoogleはYoutuberに対して「使用料」を支払わなければならないため、この「使用料」に対してアメリカの法律に基づき源泉徴収がなされるという仕組みです。
課税対象者とその注意点
この源泉徴収ですが、結論から言うと日本人はほとんど課税されません。
広告収益だけでなくYouTubeプレミアムやスーパーチャット、メンバーシップにまで課税される今回の改正案ですが、税務所得を提出し、優遇措置を申請すれば日本在住のクリエイターは税率0%で今まで通り収益を受け取ることができます。
なぜ日本人は0%かというと日本はアメリカと租税条約を結んでいるからです。
二重課税防止の観点から、日本とアメリカの間では「一方の国の企業・個人が他方の国で稼いだ所得は一方の国のみに課税される」という条約が結ばれているため、日本のクリエイターはGoogleに源泉徴収される心配がありません。
しかし、税務情報の提出を怠ると、全体の収益に対して24%の税率がかかってしまうため注意が必要です。
特に難しい手続きはありません。早めに提出をし、無駄に課税されることのないよう気をつけましょう。
余談ですが、この租税条約は、例えばアメリカとインドの間には締結されていないため、インド在住のYoutuberなどアジア、欧州を中心に反発の動きがされています。
なぜこのタイミングで改正されたのか?
なぜ今回の規約変更が行われたか、その理由についてですが、実はGoogleは理由を明らかにしていません。
「Googleが自主的に納税方法を変更した」「指導が入った」など憶測が飛んでいますが、昨今のデジタル課税の問題に対応してGoogleが先手を打ったのではないかという見方が多くされています。
いずれにしても、今回の規約変更では得をする人があまりいないため主にクリエイター間では不満の声が多いのも事実です。
まとめ
今回は2021年6月より適応される新規約について、税務面の変更点を解説してきました。
税金に関することは誰もが敬遠してしまい、苦手とする人は多いですが、まだ税務申告をしていないYoutuberの方はぜひ早めに申告をしておいてください。
これからもルールの変更等があっても、楽しく動画制作や動画視聴をできるといいなと思います。