2016年~2020年あたりにかけて、高校生ラップ選手権や、フリースタイルダンジョンで日本のHIP HOPが盛り上がりました。
現在でもクリ―ピーナッツのR-指定や呂布カルマなど、YouTubeでもしょっちゅう見るようなラッパーが生まれ、フリースタイルバトルのブームは今もなお続いているような気がします。
今回は、これまでYouTubeにアップされている動画の中から、ヘッズ(ファンの人たち)に最も評価の高かったラップバトルをランキング形式で紹介します。
ランキング5位の他にも、超オススメのバトル動画もおまけで用意しています。
まるで楽曲のような完成度の即興バトルをお楽しみ下さい。
第6位 560万回再生 MU-TON vs 呂布カルマ
ランキング5位から早速ベストバウトと言ってもいいような試合です。
2020年の凱旋MCバトルでの決勝戦で相対したMU-TONと呂布カルマ。
注目を浴びた要因として、大きな大会の決勝だった、名前が知られているラッパー同士の対決だった、人気のラップバトル番組のフリースタイルダンジョンに言及したバトルを繰り広げた、などの理由がありますが、何といってもこれはかなり素晴らしいバトルなんです。
延長になった2本目では、呂布とムートンの揚げ足取りが素晴らしいし、韻もフローもしっかりしている印象。
ムートンは韻とフローに偏って対話をあまりしないスタイルですが、呂布カルマがそれを逃がさないように攻め入って、最終的に勝利。
まるで完成された音源のようなリリックで、全てのバースで盛り上がることが出来ます。
このバトルが全てのラップバトルで一番好きな試合という人も多く、まさに後世に残る素晴らしい試合でしたね。
第5位 700万回再生 黄猿 vs 鎮座DOPENESS
バトルヘッズなら誰もが聞いたことがあるであろう戦い。黄猿と鎮座ドープネスのこの対決は鎮座ドープネスのフローがかなり光っていました。
鎮座ドープネスのラップにビートがピッタリで、誰が対戦相手だったとしても鎮座ドープネスが勝ったと思われるくらい完璧。
リリックは何言ってるのか分かりませんが、もはやリリックの精度を求めるまでもないレベルですね。
鎮座ドープネスはフローの達人と言われており、この勝負以外でも数々の名勝負を作ってきています。
フリースタイルダンジョンに出演しなかったラッパーで最も出演を期待する声が多く、人気ラッパーランキングでも必ず上位に入る天才です。
一方、黄猿もかなり前からフリースタイルラッパーとして活躍しており、実力は誰もが認めるレベル。
しかし、対戦相手が実力を発揮することが多く、名勝負メーカーと一部で言われているようです。
第4位 710万回再生 MU-TON vs 紅桜
この試合の見どころは紅桜の歌唱力ではないでしょうか。
人気ラッパーであるMU-TONに対して、後攻でどういう入り方をするのかと思えばハイトーンボイスでの歌唱。
しかもフローも最高で、客の盛り上がりも凄いことになっていますね。
紅桜は優しそうですが、もともとは凄いワルだったようで、それを知っていると尚更その歌唱力のギャップにテンションは上がってしまいます。
このバトルはUMB2018での勝負で、この動画が公開されてから再生回数をずっと伸ばし続けています。
日本人ラッパーでは珍しいタイプの2人が繰り広げたバトル。
バトルラップの面白さや奥深さを感じた人もたくさんいたのではないでしょうか。
第3位 720万回再生 Authority vs MU-TON
アウソリティ(英読みするとオーソリティーですが登録はアウソリティ)とムートンの名勝負。
2人ともこの年にノリに乗っていた時期で、優勝候補だったのですが、内容はムートンが圧勝したような感じです。
実際に、最後のムートンのバースが終了したときアウソリティは下を向いて苦笑い。こりゃ負けたなというような表情ですね。
圧勝と言っても、韻もフローもアウソリティは悪くありません。
ムートンの客の盛り上げ方を分かっているようなフローが良すぎて、一気にムートンに流れがいったような気がします。
余談ですが、2017年にフリースタイルダンジョンでもムートンは活躍。1試合目は呂布カルマに、2試合目は烈固に勝利して終了し、賞金20万円も獲得しています。
一方、この動画は2018年のUMB決勝戦で、ムートンが勝利したため優勝となりましたが、翌2019年のUMBはAuthorityが優勝を果たしています。
第2位 780万回再生 韻マン vs 晋平太
凱旋2019の1試合目から誕生した晋平太と韻マンの名勝負。
フリースタイルで一番の実力があると言われるR-指定が所属するクリ―ピーナッツの楽曲のビートということもあり、最高に盛り上がってますね。
「一体どっちが恐竜?俺はほとんど化石。完璧。稼ぎ頭じゃないけど過激。反撃開始!」という見たことないくらい鮮やかな韻の連打。
さらにその後、「ティラノサウルスじゃないけど、しかも今も牙向く準備は出来てるぜ」という「しかも」から続ける韻の3連打。
韻の連打が凄いのはもちろんだけど、アンサーを的確に返しながら韻を3連続以上繋げるのは天才すぎますね。
晋平太はそれをビートに乗せてフローして、バースのケツもしっかり収めるという離れ業を見せてくれています。
韻マンも名前の通りの韻の連打、というよりも頭からケツまで韻を繋げてバースを展開していますが、さすがにここまでしっかり聞き取れて鮮やかなリリックでアンサーされれば勝ち目ナシですね。
第1位 830万回再生 MY vs NAIKA MC
UMBでも好成績を残しているNIKA MCと、YouTuberとしても活躍しているMYの凱旋MCバトルでの勝負。
1回戦から好カードと言われたこの試合ですが、お客さんの盛り上がりもかなりのもので、拮抗しているように見えたのにMYが突然の敗北宣言。
レゲエを広めに来たというMYでしたが、充分良さが伝わったのではないでしょうか。
NIKA MCはもともとあまり韻を踏むタイプではないのですが、2バース目の「即興は男の子の度胸」からの「ここの土俵」→「残念賞」→「完全っしょ」→「完全燃焼」までの韻の6連打(最初の即興の部分を含む)はかなり見事でした。
一方で、MYはネタ仕込みと思われやすいレゲエスタイルだっただけに、NIKA MCに「カラオケか?」なんて言われちゃって白旗を上げた形に。
MYもだいぶフローもライムも素晴らしかっただけに最後までやり通して欲しかったですね。
【おまけ】完成度の高いバトルを紹介!
ニガリと鎮座ドープネスの、ビートがカッコ良すぎて生まれた名勝負。
鎮座ドープネスは実力を上手く発揮できていないのですが、ニガリが波に乗った時は最高レベルのラップをしますよね。
「まだ二十歳、カタチ、裸足」という繋げ方が聞き心地抜群で、その前の「(鎮座ドープネスは35歳、ニガリは20歳)残りの15年楽しみで仕方ねぇ」という先輩を羨んでいるように表現するリリックは何だか応援したくなりますね。
またもニガリの試合から名勝負をピックアップしました。
対戦後に韻マンが「ずっとニガリのラップを聞いていたかった」とツイートしてしまうほどで、ニガリが最も上手くラップした試合のひとつかもしれません。
ニガリは凄く独特なフローをするときがありますが、リリックの内容に合わせているのが凄いですね。DJセロリさんもびっくり笑いをしています。
流石の韻マンも判定前に「つよーい!」と負けを認めざるを得ませんでした。
全てのバトルヘッズに知られていると言ってもいいくらいの有名な試合。
R-指定とDOTAMAのUMB2014の決勝です。
「チェックしなこのフロー」で始まるR-指定のラップは1バース目の最後まで歌える人も多いのではないでしょうか。
この2人のバトルは因縁の対決と呼ばれていて、その引き金となったのが2013年のUMBでの対戦。その時もR-指定が勝っていて、優勝候補のDOTAMAはいつもR-指定にいいところで負けちゃうので、その頃あたりからずっと因縁の対決と言われていました。
フリースタイルダンジョンでも何度か勝負していて、遂にDOTAMAが勝利するのですが、本当は仲が良いらしいですよ。
輪入道 対 句潤のこの2020年真アドレナリンでの勝負は、これまで全てのフリースタイルバトルの中で、一番の名勝負と言っていいかもしれません。
とにかく最初から最後まで技術が高い。輪入道の高速ラップは技術もアンサー力も最高で、一方の句潤のラップも聞いたことないくらい凄い技術のラップをしています。
頭の回転が違い過ぎる異次元の戦い。何度観ても飽きませんね。
以上、現在、公式でアップされているYouTubeのラップバトルから再生回数でランキングを付けてみました。
過去にブームになったものは、やはり今聞いても上がりますね。
近い将来、またラップバトルのブームは来ると思われるので、このランキングで興味が湧いた人は練習してみては如何でしょうか。
ラップって聞くだけじゃなくて、練習すれば簡単にできるようになるみたいですよ。